はじめに:MMULT関数とは?
MMULT関数は、Googleスプレッドシートで行列(マトリックス)計算を行うための関数で、2つの行列の積を計算することができます。行列計算は、データ解析や統計、物理学などでよく使われますが、MMULT関数を使えば、複雑な行列の積もスプレッドシートで簡単に計算できます。
高校の時の数学Cですねこれ、当時全くわかりませんでしたが、関数の勉強と実例をこなしていく中で理解できてます。
この記事では、MMULT関数の基本的な使い方から、実務での応用例までを詳しく解説します。
MMULT関数の構文
MMULT関数の基本的な構文は以下の通りです。
=MMULT(配列1, 配列2)
◯ 配列1: 最初の行列データを指定します。
◯ 配列2: 2つ目の行列データを指定します。
2つの行列を指定する際、行列1の列数と行列2の行数が一致している必要があります。行列の積の計算では、結果の行列は「行列1の行数×行列2の列数」のサイズとなります。
MMULT関数の基本的な使い方
実例1:2×2の行列同士の積を求める
表1と表2の合計値をまとめて計算します。
表1
数値A | 数値B |
---|---|
2 | 3 |
4 | 5 |
表2
数値C | 数値D |
---|---|
1 | 2 |
3 | 4 |
実際はこんな感じに表示されているとします。
これらの2×2行列の積を計算するため、次のようにMMULT関数を設定します。
=MMULT(A2:B3, C2:D3)
計算の詳細
この式によって以下のような計算が行われます。
上の値(11)の計算
- 行列1の「1行目」(2と3)と、行列2の「1列目」(1と3)を掛け合わせて足し合わせます。
- 計算:
(2×1) + (3×3) = 2 + 9 = 11
右上の値(16)の計算
- 行列1の「1行目」(2と3)と、行列2の「2列目」(2と4)を掛け合わせて足し合わせます。
- 計算:
(2×2) + (3×4) = 4 + 12 = 16
左下の値(19)の計算
- 行列1の「2行目」(4と5)と、行列2の「1列目」(1と3)を掛け合わせて足し合わせます。
- 計算:
(4×1) + (5×3) = 4 + 15 = 19
右下の値(28)の計算
- 行列1の「2行目」(4と5)と、行列2の「2列目」(2と4)を掛け合わせて足し合わせます。
- 計算:
(4×2) + (5×4) = 8 + 20 = 28
結果
11 | 16 |
19 | 28 |
この結果は、2つの行列の積として計算され、スプレッドシート上で表示されます。
MMULT関数の応用例
MMULT関数は、シンプルな行列の積以外にも、他の関数と組み合わせてデータ分析や変換に活用できます。以下に、さまざまな実用的な応用例を紹介します。
実例2:データ変換におけるMMULT関数の活用
たとえば、スプレッドシートのデータを複数の値に変換する際に、MMULT関数が役立ちます。これにより、データを一括で変換することが可能です。
データ例
数値1 | 数値2 |
---|---|
2 | 3 |
4 | 5 |
6 | 7 |
これらの数値を特定の重み付けで変換したい場合、重み行列と掛け合わせます。
個数A | 個数B |
---|---|
1 | 2 |
3 | 4 |
=MMULT(A1:B3, C1:D2)
結果
変換されたデータが出力され、複数の値が効率的に計算されます。
実例3:統計分析でのMMULT関数の利用
データ分析では、分布や回帰などの統計分析にもMMULT関数が活用できます。複数の変数に基づく集計を行いたい場合、MMULT関数で自動的に計算できるため、集計作業が簡単です。
データ例
年度 | 売上額 | 販売数 |
---|---|---|
2021 | 200 | 15 |
2022 | 250 | 18 |
2023 | 300 | 22 |
これらのデータを基に、売上額と販売数の平均や合計を行列として算出します。
MMULT関数のメリットと注意点
メリット
注意点
● 行と列の一致が必要: 配列1の列数と配列2の行数が一致していないと計算できないため、範囲設定に注意しましょう。
● セルのサイズ: 結果が返されるセルのサイズが行列の積に対応している必要があります。
● 文字列には対応してない:文字列の入力をしないように数値を入力して表示形式の数字を変更しよう。
MMULT関数の実践活用まとめ
MMULT関数は、普段の生活でも何かをまとめて計算したいときや、複数の条件を組み合わせてデータを分析するときに役立ちます。具体的なシーンをいくつか挙げてみますね。
1. 家計管理・予算計画
例えば、毎月の支出項目に対して、一定の重み(支出割合)をかけて、どれだけの予算が必要かを計算したい場合です。
例1
- 支出項目:食費、交通費、娯楽費
- 予算割合:食費は30%、交通費は20%、娯楽費は50%
このような予算計画を行列で管理し、MMULTを使って合計予算を計算すれば、支出項目に応じた予算を自動で計算できます。
このように、E3に式を入れただけで自動で他を計算してくれます。
3. トレーニング・運動記録の管理
「トレーニング・運動記録の管理」にMMULT関数を活用する例を具体的に説明します。この場合、複数の運動種目に対して運動時間やカロリー消費係数を掛け合わせて、合計の消費カロリーを簡単に計算できます。
シチュエーション
たとえば、次のような運動プランを週ごとに管理したいとします。
- 運動の種類:ランニング、筋トレ、ヨガ
- 運動時間:各運動を行う時間(分)を記録
- カロリー消費係数:各運動の1分あたりの消費カロリーの目安
このデータを使って、1週間の総消費カロリーを計算します。
データ設定
1. 運動時間のデータ(分)
日付 | ランニング | 筋トレ | ヨガ |
---|---|---|---|
月曜日 | 30 | 20 | 15 |
水曜日 | 45 | 30 | 20 |
金曜日 | 60 | 25 | 30 |
- 各列は「運動の種類」、各行は「日付」を表しています。
- 値は「各運動の実施時間(分)」を示しています。
2. カロリー消費係数
ランニング | 筋トレ | ヨガ |
---|---|---|
10 | 8 | 5 |
- この行列には、各運動1分あたりの消費カロリーが記載されています。
- たとえば、ランニングは「1分あたり10キロカロリー」、筋トレは「1分あたり8キロカロリー」、ヨガは「1分あたり5キロカロリー」の消費があると仮定しています。
MMULT関数を使った計算方法
このようなデータを基に、MMULT関数で合計消費カロリーを求めます。行列同士を掛け合わせることで、各運動の消費カロリーが計算され、1週間分の合計消費カロリーが簡単に求められます。
数式の設定
- 運動時間のデータ範囲(例:
B2:D4
)とカロリー消費係数のデータ範囲(例:B6:D6
)を選びます。 - 次の数式を使用します。
=MMULT(B3:D5, TRANSPOSE(A9:C9))
※ TRANSPOSE関数で、カロリー消費係数を横向きから縦向きに変換します(行列のサイズを合わせるため)。
計算結果
日付 | 合計消費カロリー |
---|---|
月曜日 | 660 |
水曜日 | 990 |
金曜日 | 1350 |
- 月曜日:
(30×10) + (20×8) + (15×5) = 660
キロカロリー - 水曜日:
(45×10) + (30×8) + (20×5) = 990
キロカロリー - 金曜日:
(60×10) + (25×8) + (30×5) = 1350
キロカロリー
このように、MMULT関数で各運動と消費カロリー係数を掛け合わせて日ごとの合計消費カロリーを計算し、それを週ごとの集計に活用できます。
まとめ
MMULT関数は、運動の消費カロリー計算のように複数の値を同時に掛け合わせたいときに便利です。
運動の種類が多い場合でも、一度に集計できるため、効率的にトレーニング管理が可能です。
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